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重茂レポート

漁業の復活に欠かせない早採りワカメ (1/3)

持続可能な漁業を目指す

 漁業設備の復旧や早採りワカメの出荷を機に、2014年を復興元年と位置付けている重茂漁業協同組合(以下、重茂漁協)。しかし、そこに至るまでの道のりは、苦難の連続だった。
 「重茂漁協の組合員は500人にのぼります。全員がアワビやウニの漁業に携わっていますが、そのうちワカメやコンブの養殖を兼業しているのが約180人。でも震災後に、50人以上が養殖業を辞めてしまいました。これは養殖を担う組合員の3割に達します」
 重茂漁協で業務部次長を務める後川良二さんは、震災後の組合員の動向を振り返った。

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震災後に激減した重茂の養殖業者について語る後川次長

 後川次長によれば、養殖事業を辞めた理由の多くは、船が流されて養殖そのものができなくなってしまったことにあるという。また、高齢者の中には震災の惨状を目の当たりにし、引退を決意した人も少なくなかった。若い世代の組合員の中にも、親が養殖事業の継続を断念したために、もう後を継ぐ必要がないと辞めてしまった人もいた。

 「養殖を続ける65歳以上の高齢者の中にも、もう辞めたいと考えている人が1割ほどいるようです。私たちはこの人たちを、廃業予備軍と呼んでいます。ベテランの彼らは、経験豊富でスキルも高い。そうした財産を後の世代に引き継ぐことなく、辞めてしまうのはもったいないことです。そこで彼らの廃業を何とか食い止めようと、考えたのが早採りワカメのブランド化でした」
 早採りワカメはもともと、通常のワカメを養殖する際、成長の邪魔になるからと間引いていたもの。味や食感は抜群だったが、市場に出荷するほどの収穫量はなかったので、もっぱら養殖業者や地元の人たちの間で食べられていた。それを重茂漁協では、商品として出荷することを考えついたのだ。
 「通常のワカメは春ごろまで育てると、2メートルくらいの長さになります。これを1月から2月にかけて、60センチくらいの長さで刈り取るのです。長さが短いため、作業量は通常の5分の1以下。収穫にかかる時間も短縮されます。高齢者にとって、2メートルもあるワカメがびっしりついたロープを海から引き揚げるのは大変ですが、早採りワカメならそこまで力はなくても大丈夫。まさに持続可能な漁業だと言えるでしょう」
 早採りワカメは通常のワカメに比べ、水揚げ高は6割から7割程度。それでも高齢者にとっては、少ない労力で対価を得られる貴重な事業になる。重茂の漁業を復活させるために、早採りワカメはなくてはならない手法なのだと、後川次長は力説してくれた。

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早採りワカメが重茂の漁業を復活させるためのカギを握る(写真提供/重茂漁業協同組合)


 実際、早採りワカメは日本で普及するための、いくつもの可能性を秘めている。
 現在の日本では、ワカメの自給率は3割に満たない。大半は外国で生産・加工された安価で長期保存可能な塩蔵ワカメが輸入され、日本のワカメと混ぜて売られている。しかし、早採りワカメは生で食べることが主流のため、日もちは長くて5日ほど。この短い期間なら外国から輸入することも難しい。つまり、純国産のワカメとしてアピールすることができるのだ。しかも生のワカメのほうが栄養価も高く、湯通ししたときに鮮やかな緑色に変わる見た目の楽しさも、大きな武器になる。
 国産ワカメの生産量では日本一を誇る重茂半島。約3千トンある年間生産量のうち、2014年は40トンを早採りワカメにする計画だ。そして将来的には、ワカメの売り上げの半分を、早採りワカメが担うことを目指している。

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