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気仙沼贈呈式レポート

水産加工業者が力を合わせて復興に挑む (1/3)

「共に立ち上がる」ために組合を結成

 2014年2月22日、宮城県気仙沼市にある気仙沼商工会議所で、「復興応援 キリン絆プロジェクト」による水産業支援の贈呈式が行われた。
 東日本大震災の際、気仙沼市は巨大地震や大津波の被害に加え、屋外タンク(22基流失)からもれた重油などが引火したことで、猛烈な火災にも襲われた。その結果、死者1041人、行方不明者236人という甚大な人的被害をもたらした(注1)。
 同様に、市の主力産業のひとつである、水産加工業も壊滅的なダメージを受けた。
 「気仙沼湾の周辺に立地していた水産加工の工場は、ほとんどが倒壊・流失し、火災により焼失した工場もありました。当時はとても事業の再建を考えられる状況ではありませんでした」
 気仙沼鹿折(ししおり)加工協同組合(以下、鹿折加工組合)で、事務局長を務める後藤司さんは、震災当時を振り返った。


sisiori.1.jpg震災当時を振り返る後藤事務局長

 気仙沼湾の最奥部にある鹿折地区は、市内でも特に津波の影響を受けやすい地域。東日本大震災では9メートルを超える津波に襲われた。沿岸部にある水産加工の工場はほとんどが津波で流出。工場を元の場所に再建するには、行政による土地のかさ上げが必要だったが、進捗はかんばしくなかった。


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気仙沼湾に面する鹿折地区は、津波により甚大な被害を受けた(震災の約2週間後に撮影された航空写真)

(写真提供/気仙沼鹿折加工協同組合)

 こうした状況に対し、水産加工業者が個別で県や市と交渉していても好転は望めないと、鹿折地区では2012年8月に組合を結成。三陸のワカメ・コンブをはじめ、カツオやサンマ、フカヒレの加工を手掛ける会社など、17社(平成26年2月現在18社)の水産加工業者が参加し(注2)、協同で交渉を始めることにした。
 「でも折角17社も集まったのだから、気仙沼の水産加工業の復活のために、一緒に何かできないかという話になりました」
 後藤事務局長によれば、震災により商品提供が途絶えてしまった取引先と、ビジネスを再開するのはとても困難な状況だったという。震災後、新たな商品の供給先を見つけた取引先にとっては、わざわざ時間とお金をかけてまで、震災前の流通形態に戻す必要はなかったからだ。また、震災前と同じ商品を作っても、復興支援による購買需要が一巡すれば、競争力を失ってしまう心配もあった。そこで鹿折加工組合では、商品のブランド化に着手することにした。
 具体的には、新たな商品の開発、取引先の確保、情報発信の強化などである。
 商品開発では、まず既存の商品を改良。核家族向けに内容量を減らしたり、若者向けに調理不要な加工商品に作り変えたりする。また、子どもや女性、高齢者向けの新商品を開発。組合ブランドによる新商品も開発し、「気仙沼鹿折」のロゴマークを使用する。他にも、組合で共同の料理レシピを開発し、加盟各社がレシピに合わせた商品作りを行うことも考えている。

sisiori.3.jpgロゴマークは「鹿折」の名にちなんで、折り紙で作った鹿のデザインを採用した

 取引先の確保では、組合設立時から全面的に支援を受けている大手商社が、関連企業のネットワークを活用しながら販路開拓支援として、商品の卸し先となる流通企業を仲介。すでに仮設の工場などで作られた商品の販売を始めている。将来的には、都市部に直営の販売所を設けたり、アジアを中心に海外へ販売することも見込んでいる。加盟各社が個別で販路拡大を目指すより、組合として取り組んだほうが、商品ラインナップも豊富になり商談も有利になるという判断だ。

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組合加盟の18社は多彩な水産加工商品を生産している

 また、雑誌媒体やソーシャルメディアなどを駆使して、商品やブランドのPRもしていく。PR戦略の策定には、大手印刷会社の協力も得ている。

 「鹿折地区の漁港区域では、年度末までにかさ上げが完了する予定です。来年春には新しい工場も稼働を始めるでしょう。でもそれまでは、現状からの大きな売上増加は見込めません。だからこそ、工場が本格稼働できた際には、すぐに新たな商品を作って、取引先に卸し、PRできるよう、今から準備しておく必要があるのです」
 震災前の事業の枠を飛び越え、販路拡大や情報発信にまで踏み込むことで、6次産業化(注3)にもつながるのだと、後藤事務局長は組合事業の強みを語ってくれた。
 「復興応援 キリン絆プロジェクト」を展開するキリングループでは、鹿折加工組合の復興にかける取り組みに賛同。日本財団の協力のもと、商品開発やブランド化の事業に、5千万円を支援することを決定した。

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