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三陸パートナーズ 試食会レポート

三陸パートナーズ 試食会レポート (1/1)

 2015年3月18日、東京都中野区にあるキリングループ本社で、「協同組合三陸パートナーズ」(以下、三陸パートナーズ)の試食会が行われた。
 三陸パートナーズは岩手県大船渡市や陸前高田市で事業を行う水産加工会社6社(及川冷蔵株式会社、株式会社國洋、株式会社毛利、有限会社コマツ商店、有限会社コタニ、有限会社広洋水産)で構成されている。新しい水産加工品の開発や地域の活性化を目指して、2013 年7 月に立ち上げられた組織だ。
 活動の最大の目的は、大船渡市を「食のまち」としてブランド化することにある。大船渡市の水産物に岩手県の山や里の食材を組み合わせ、新商品を開発。食材の調理方法や商品の提供の仕方にも工夫をこらし、その内容をレシピとしても提案していく。また、商品パッケージのデザインも新たに考案する。こうした取り組みには、フレンチ業界の著名料理人や東北支援を続けるNPOなど、外部からの協力も得ている。
 現在、三陸パートナーズでは30品目以上の新商品を開発。その中には、都内の百貨店などですでに販売が開始されているものもある。最終的には「キリン絆プロジェクト」の枠組みの中で、50品目ほどの商品を開発する予定だ(贈呈式の記事はこちら:http://kizuna-nipponfoundation.info/2013/11/post-20.html)(事業の詳細に関する記事はこちら:http://kizuna-nipponfoundation.info/2013/11/post-19.html)。
 試食会では、三陸沿岸で獲れるサンマ、タコ、ホタテ、真イカ、サバ、穴子などを使った商品が登場。「温燻」「冷燻」「炙り締」などの形で加工された商品が提供された。また、三陸のワカメや海鮮サラダに使われるドレッシングもあり、商品の数は14品目にも及んだ。事前に行われた販売会でも、三陸のサケをポワレにしたり、ホタテやカキをスモークした商品など15品目が販売され、人気を集めていた。

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試食会に登場したサンマの温燻(左)、タコの冷燻(中)、海鮮サラダ

 冒頭、キリン株式会社CSV推進部キリン絆プロジェクトの野田哲也・リーダーより、「協同組合を構成している6社はすべて被災していること」「震災前の状態に戻すのではなく、新しい価値を生み出すために、付加価値の高い商品の開発に取り組んでいること」「試食会のアンケートで忌憚のない意見をもらい、さらなる商品開発に活かそうとしていること」など、「三陸パートナーズ」の紹介が行われた。
 続いて、「三陸パートナーズ」の理事長を務める及川廣章さんから挨拶が行われた。
 「私たちはどの会社も、事務所や工場が震災の津波で流されました。しかし、キリン絆プロジェクトによるご支援のお陰で協力体制を築くことができ、一緒に商品開発に取り組んでいます。大船渡市というのは本来、付加価値をつけることが苦手な地域ですが、1社ではできないこともみんなで協力すれば実現できると思います。本日は三陸のスモーク商品とワカメをご用意しました。アンケート結果をもとに、さらに商品の改良に努めたいと思います。大船渡市では震災から4年が経った今も、地盤のかさ上げ工事が行われるなど、復興はまだこれからという感じです。だからと言って、いつまでも被災者ではいられません。私たちも生産・加工に携わるものとして、頑張っていきたいと思います」

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三陸パートナーズを代表して挨拶する及川さん

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試食会に参加した100名を超える従業員の皆さんが、及川さんの話に耳を傾けた

 及川さんが挨拶を終えると、いよいよ試食の時間となった。キリングループの従業員の皆さんは、順番に並んで料理を取り分けてもらった。

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たくさんの種類の料理を取り分けてもらう従業員の皆さん

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試食会場では料理の盛り付け方の見本も展示されていた

 また、及川さんから商品に対する説明も行われた。三陸のワカメは成長段階によって「若者」「子ども」「赤ちゃん」の3種類を用意。食感(やわらかさ)が異なるほか、しゃぶしゃぶにするなど種類に合った料理の仕方があるという。三陸サケのポワレは、切り身にした魚にたっぷりのソースをかけて食べる一品。通年食べられるように、魚もソースも冷凍保存できるようになっている。また、燻製の商品はタコのみ「冷燻」のさしみタイプになっていて、ブリやサンマ、ホタテなどの「温燻」は火が通っている。どの商品もビールだけでなく、ワインにも合うという。

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商品の説明にはスライドも使われた

 そこでキリンのグループ会社であるメルシャン株式会社の従業員の皆さんが、試食会用にワインも用意してくれた。輸入ワインに加え、国産ワインも登場。メルシャン株式会社では、長野や山梨にあるぶどう農家と契約を結び、国産ワインの製造を進めている。国内でワイン用に収穫されるぶどうはまだ量が少ないが、国産ワインの普及に向けて、契約農家と一緒にワインづくりに励んでいるという。

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試食会では10種類を超える輸入・国産ワインが、従業員の皆さんに振る舞われた

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「日本の新酒」と名付けられたこの国産ワインには、山梨県のぶどうが使われている

 キリングループの従業員の皆さんは試食用の料理を受け取ると、自分のテーブルに戻り、キリンのビールやワインを飲みながら試食を開始。一品ずつ試食しながら、アンケートの質問に次々と答えていった。

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試食をしながらアンケートを書き込む男性従業員

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商品を評価するために、真剣な表情で試食を行う従業員の姿も見られた

 試食会の途中、男女3名でテーブルを囲むグループに話を聞いてみた。所属する会社は違うが、同じ経営企画の業務に携わる仕事仲間だという。
 「以前は営業職で岩手県を担当していたので、大船渡は思い出の地でもあります。震災後は宮古市の田老地区にいる友人が心配になり、訪ねたこともあります。試食会のメニューの中では赤ちゃんワカメが特においしかったですね。生のワカメを湯通しした商品ですが、日頃、ワカメだけを食べる機会が少ないので新鮮でした。復興支援と言っても、個人でできることは限界があります。そうした中、キリン絆プロジェクトのように、会社として規模の大きい支援ができることは良いと思います。自分たちもその枠組みの中で、できることを続けていきたいですね」

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試食会で評価の高かった三陸ワカメの「赤ちゃん」は、しゃぶしゃぶのような食べ方をするのがオススメ

 三陸パートナーズは商品開発などの活動を進める中で、「キリン絆プロジェクト」をはじめ多くの企業・団体から支援や協力を得ている。そこで協力先のひとつである、NPO法人ソウルオブ東北の岡部泉・理事長に話を聞いてみた。
 「ソウルオブ東北では三陸パートナーズの活動を支援しようと、商品の企画から販路開拓まで、また、ロゴマークや商品パッケージのデザインにも協力しています。すでに30品目以上が商品化され、都内の百貨店でお中元やお歳暮の商品として、また、催事が行われるときの店頭商品としても販売されています。今後は大船渡の駅や道の駅などでも販売できるよう、お土産になるような商品も開発していく予定です。また、パスタの入ったパスタソースやカレーのレトルトなど、三陸の魚介類を使いながら、時短料理を望むお母さんたちの需要にも応えていく考えです」

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三陸パートナーズへの協力内容について語る岡部理事長

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団体のロゴマークも、ソウルオブ東北の協力のもとでデザインされた

 岡部理事長によれば、現在、三陸パートナーズの商品数は、サンプルまでできている商品を含めると50品目に及ぶという。今後の課題は、いかに大量出荷できる商品を生み出せるか。大量出荷することで、工場の稼働率も上がり、商品としての損益分岐点を超えることができるからだ。三陸パートナーズではそのために、50品目にも及ぶ商品群を開発し、流通企業の購買を担うバイヤーに多くの選択肢を提示している。50品目の中でバイヤーの目にとまるものがあれば、取引が開始され、大量出荷への道も開けるはずだという。
 三陸パートナーズは現在、水産加工の6社で構成されているが、新たに生産関連の会社も加わり10社になる予定だ。どの会社も本業と協同組合という二足のわらじを履いて頑張っている。それもすべて、大船渡市を「食のまち」としてブランド化させたいという強い思いがあるからだ。開発された商品の数も出揃い、本格的な販売に向けて、これからが正念場になることだろう。近い将来、全国に名を轟かすような商品が生まれることを期待したい。

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大船渡を「食のまち」としてブランド化するために、みんなで力を合わせて頑張ります!

取材協力/有限会社パワーボール、写真撮影/和田剛

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