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おながわ復興まちびらきレポート

おながわ復興まちびらきレポート (1/1)

 2015年3月21日、宮城県牡鹿郡にある女川町で、「おながわ復興まちびらき2015春」(以下、「復興まちびらき」)が開催された。
 女川町は東日本大震災により壊滅的な被害を受けた。20メートル近い大津波が町の中心部を襲い、女川駅や町役場、水産関連施設をはじめとする多くの建物が流出。住宅用家屋も約7割が全壊し、死者・行方不明者の数は827名に達した。
 絶望的な状況ではあったが、町長を筆頭に女川町民は一丸となって、復興への地道な取り組みを続けていく。そして震災から4年が過ぎたこの日、ようやく女川町の復興に向けた歩みを内外にお披露目する、「復興まちびらき」を開催することができたのだ。

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「復興まちびらき」が行われた女川町の中心部。海に面する中心部の地盤は、震災後、5メートルから9メートルという高さで全面的にかさ上げされた

 「復興まちびらき」は、女川町が復興の第1段階を宣言する式典でもある。津波で流出した女川駅が再建され、女川-浦宿(うらしゅく)の約2.3キロの区間が再開されたことで、JR石巻線も全線復旧を果たした。また、女川駅の駅舎では、温泉温浴施設の「女川温泉ゆぽっぽ」も開業する。津波で破壊された町の中心部もかさ上げが完了し、今春から順次、町民や来訪者のための交流施設や水産業の体験施設、また、テナント型の商店がオープンする予定になっている。

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うみねこが羽ばたく姿をイメージして設計された女川駅。駅舎の位置は震災前より200メートル内陸に移された

 冒頭、女川町の須田善明町長から挨拶が行われた。
 「多くの皆さんに集まって頂き、復興まちびらきを開催できることを嬉しく思います。町の中心部は津波で破壊されましたが、瓦礫を撤去し、盛り土をし、地盤をかさ上げすることで復活を果たしました。これも全国の皆様からのご支援のお陰です。町民を代表して、心より感謝申し上げます。年内には町の中心部に商店や事業所が次々と完成し、町としての形ができあがります。また、住宅再建も始まり、町は再生へと歩を進めていきます。女川町は復興を通じて、新しい価値を生み出していかなければなりません。それが多くの支援をくださった皆さんや、亡くなった方々の無念の思いに応える唯一の道だからです。今まで力添え頂いたすべての皆様に感謝するとともに、復興へ向けしっかりと歩んでいきたいと思います」

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復興を通じて新しい価値を生み出すことが大切だと語る須田町長

 また、女川町議会の木村公雄・議長からも挨拶が行われた。
 「震災により女川町の地域コミュニティは、一瞬にして崩壊しました。そうした厳しい状況の中、町民一人ひとりが支え合いながら歩んで来たのです。そしてようやく、女川駅舎の再開、石巻線の復旧、温泉施設の完成という3つの開業を迎えることができました。町民の生活に重要な石巻線が開通したことで、町の復興は大きく前進することでしょう。誰もが住み続けたくなる町を作ることが、全国から寄せられた支援への恩返しになるはずです。これからも町民が一丸となって町の復興に尽力していきたいと思います」

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誰もが住み続けたくなるまちづくりに意欲を見せる木村議長

 「復興まちびらき」には、町外から多くの来賓も招待されたが、その中に竹下亘・復興大臣の姿も見られた。
 「4年前の3月11日から、苦しんできた今日までの道のりは本当に長かったと思います。これまで努力をされてきた町民の皆さんに、敬意と感謝の気持ちでいっぱいです。石巻線も開通し、女川町は新しい一歩を踏み出すと確信しています。でも復興を果たすためには、まだやるべきことがあるのも事実です。女川町の中心部に商業エリアが完成し、町に人が戻り、子どものための学校ができて、初めて復興したと言えるでしょう。また、本当の復興のためには、女川町の皆さんが、この町は自分たちの故郷であるという魂を取り戻すことが必要です。今日の式典は、本当の復興に向かうための大きな第一歩だと言えるでしょう。復興庁としても、これからも女川町への支援を続けていく考えです」

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竹下大臣は、町民が故郷に対する魂を取り戻すことが、本当の意味での復興だと考えている

 また、宮城県の村井嘉浩・知事からも、来賓を代表して挨拶が行われた。
 「女川町は町民の意向をくみ取りながら、職住分離の安全・安心なまちづくりを進めているところが、素晴らしいと思います。町民が待ち望んだ石巻線も開通し、これから生活の利便性も向上することでしょう。また、観光業や水産業への波及効果にも期待が持てます。宮城県としても、皆さんが安心して住めるような復興まちづくりに努力していきたいと思います」

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住民が安心して住める復興まちづくりへの努力を表明した村井知事

 一通り挨拶が終了すると、須田町長から駅舎の設計や建設、また、温泉施設内に飾られたタイルアートに協力して頂いた個人や企業の皆さんに、感謝状が贈られた。

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女川町復興への協力者に感謝状を贈る須田町長

 そしていよいよ、「復興まちびらき」のテープカットの時間となった。テープカットには須田町長のほか、竹下大臣や村井知事をはじめ多くの来賓が参加。未来を担う代表として、女川小学校の男の子と女の子も1名ずつ、テープカットに臨んだ。続いて行われたくす玉割りには、女川中学校から男女1名ずつが参加し、会場を大いに盛り上げた。

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晴れやかに行われたテープカットとくす玉割り

 「復興まちびらき」の式典は、新しく完成した女川駅舎の目の前で行われていた。そこでテープカットとくす玉割りが終了すると、式典の列席者や報道関係者は駅舎を通ってホームに移動。この日、開通した石巻線の臨時列車の出発式に臨んだ。石巻線は今後、震災前と同じように、1日に上下22本が運行されることになっている。

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女川駅に到着した石巻線の臨時列車。車内に女川小の子どもたち154名と村井知事が乗り、石巻へと向かう

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ホームは臨時列車を見送る式典の列席者と報道陣であふれ返った

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臨時列車の運転士には、須田町長からお祝いの花束が贈呈された

 また、「復興まちびらき」の会場では、「石巻やきそば」「サンマのつみれ汁(女川汁)」「東松島のいちご」が参加者に無料で振る舞われた他、女川町ブランド「あがいんおながわ」の認定商品販売も行われた。式典に参加した町民からは、「復興に向けた町のハレの日に参加できてよかった」「完成した駅舎や整備された中心部など、町が新しく生まれ変わった姿を見られて嬉しかった」など、新生・女川町の誕生を喜ぶ声が聞かれた。

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「復興まちびらき」には、町民、来賓、報道陣などを合わせ、1000人を超える人々が参加。式典を大いに盛り上げた

 式典の終了後、「キリン絆プロジェクト」が支援している「女川ブランディングプロジェクト」の運営主体である、「復幸まちづくり女川合同会社」の阿部喜英・代表社員に話を聞いた。「復幸まちづくり女川合同会社」はかさ上げされた町の中心部で、今春に水産業体験館である「あがいんステーション」をオープンする予定だ(女川町で行われた「キリン絆プロジェクト」の調印式の記事はこちら:http://kizuna-nipponfoundation.info/2013/11/post-17.html)(「女川ブランディングプロジェクト」の活動に関する記事はこちら:http://kizuna-nipponfoundation.info/2013/11/post-18.html)。

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今春オープン予定の「あがいんステーション」は、震災前に女川駅があった場所に建設される

 「復興まちびらきは、ひとつの節目の日になったと思います。町の中心部は今まで、かさ上げ工事を急ピッチで行うため、町民ですら立ち入ることはできませんでした。今日の式典に参加したことで、ようやく元の町に一歩を踏み出すことを実感できたのです。「あがいんステーション」ではこれから町内外の人たちを招いて、養殖場を見学したり、水揚げした水産物を自分たちでさばいて、「女川丼」として盛り付けて食べるなどの水産業体験を行っていきます。今年の5月には新入社員研修として体験プログラムが組まれていますし、夏には兵庫県宝塚市の子どもたち30人が水産業体験に来る予定です。今までも体験プログラムは実施していましたが、施設がないため浜辺や市場の一角を使わざるを得ませんでした。「あがいんステーション」が完成すれば、体験プログラムの幅も広がると思います。これから女川町の中心部には、商業施設や事業所が次々に完成していきます。そうした他の施設とも連携しつつ、町の外からたくさんの人を呼び込んで町民と交流できるよう、人の往来を増やしていきたいですね」

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水産業体験を通じた女川町の未来の姿を語る阿部さん

 震災によりゼロからのまちづくりを余儀なくされた女川町。「復興まちびらき」を迎えるまでの日々は苦難の連続だったに違いないが、だからこそ新たに始められることも多くあるはずだ。町民が一丸となって復興に取り組むことで、女川町が世界に誇れる町として生まれ変わることを期待したい。

取材協力/有限会社パワーボール、写真撮影/和田剛

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