復興応援キリン絆プロジェクト

水産業復興支援事業

活動について

各地域での活動

活動レポート

HOME
活動レポート
伝統的な食文化を復活させる試み

「鯉に恋する郡山プロジェクト」贈呈式レポート (1/3)

風評被害に苦しむ鯉養殖

 2015年11月25日、福島県郡山市にある郡山市役所で、「復興応援 キリン絆プロジェクト」水産業支援の贈呈式が行われた。
 福島県の中央に位置する郡山市は、人口約33万人の中核市。企業の工場が数多く立地する東北有数の商工業都市だ。同時に、米や野菜をはじめとする農業も盛んで、猪苗代湖や磐梯熱海温泉郷など観光資源も豊富にある。また、2008年に「音楽都市宣言」を発表するなど、地域を挙げて音楽活動にも力を入れている。
 一方で、郡山市は江戸時代から鯉養殖が行われ、現在でも市町村別の生産量で日本一(2014年=550トン)を誇る鯉の産地でもある(注:本記事に登場する鯉はすべて「食用鯉」を指す)。しかし近年は、食生活の欧米化や個食化により、鯉の消費量は減少していた。それに伴い、鯉料理を提供するお店も減少、「鯉食」の認知度も低下の一途をたどってきた。

01鯉_左側.jpg 01鯉_作業風景_右側.jpg

市町村別の生産量で日本一を誇る郡山市の鯉養殖は、消費量の低迷に苦しんでいた
(写真提供/県南鯉養殖漁業協同組合)

 江戸時代から続く伝統的な鯉の食文化が直面する時代の変化。そこへさらに追い打ちをかけたのが、東日本大震災の影響だった。地震により鯉を養殖するため池の堤防が崩れたり、亀裂が入るなどの被害を受けた。震災後、被害の大きいため池から順次修復し、鯉の養殖を再開できるようになったが、原発事故がもたらした風評の影響により、生産量は震災前に比べ大きく落ち込んでいた。
 こうした状況を打破しようと、郡山市と県南鯉養殖漁業協同組合(以下、鯉養殖組合)が協力して立ち上げたのが「鯉に恋する郡山プロジェクト」だ。
 「仙台市の牛タンや宇都宮市のギョーザのように、郡山市には地域を代表する料理として定着しているものがありませんでした。市として何か打ち出せるものはないか模索していたとき、鯉養殖組合の皆さんが風評被害に苦しみながらも、伝統料理を再建しようと頑張っていると聞きました。そこで、市町村別の生産量で日本一を誇る鯉を活用して、町おこしにつながる事業ができないかと考え、鯉養殖組合と協力して新しいプロジェクトを立ち上げることにしたのです」
 郡山市農林部園芸畜産振興課の箭内勝則・課長補佐が、プロジェクトが立ち上がるまでの経緯を話してくれた。郡山市では今年の4月に「鯉係」も新設。箭内・課長補佐は「鯉係長」も兼務している。

03箭内・課長補佐兼「鯉係長」.jpg

プロジェクト発足に至る経緯を説明する箭内・課長補佐兼「鯉係長」

 原発事故の影響により、郡山産の鯉からも一時的に放射性物質が検出されたが、その後の検査結果で検出限界未満となり、それ以降、放射性物質は検出されてない。しかし、風評被害の影響は根強く、いまだに鯉の生産量は震災前の水準を回復していない。
 「郡山市の鯉は、広いため池の中で、自然に近い環境で育てられています。エサもカイコのサナギや大麦を煮たもの、魚粉を固めたものなど、栄養バランスを考えながら与えています。鶏に例えるなら、ブロイラーではなく地鶏だと言えるほど、生産者は手間暇をかけて鯉を養殖しているのです。それにもかかわらず、風評被害のために出荷が制限されるというのは、残念でなりません」
 鯉養殖組合の廣瀬剛さんが、郡山市の鯉養殖が直面している現状を教えてくれた。

04廣瀬さん.jpg

廣瀬さんは生産者の立場から、郡山市の鯉養殖が直面している現状について話してくれた

 そこで「鯉に恋する郡山プロジェクト」では、既存の鯉のブランドを消すことなく、新たに「鯉に恋する郡山」という名称で地域ブランドを立ち上げ、歴史ある特産品であることを強みに、郡山市の鯉の復活と継承、そして新たな食文化の創造を目指すことにした。
 「復興応援 キリン絆プロジェクト」を展開するキリングループでは、郡山市と鯉養殖組合が一丸となって取り組む「鯉に恋する郡山プロジェクト」の趣旨に賛同。日本財団の協力のもと、1000万円を助成することを決定した。

ページの先頭に戻る