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三陸全体を活気づけるための食育プロジェクト

フィッシャーマンズ・リーグ 大人の食育イベント「SANRIKUワカメで美味しいとキレイをつくる」レポート (1/1)

 3日間開催の「SANRIKUフィッシャーマンズ・フェス」の2日目にあたる、2016年6月18日。「まるごとにっぽん(浅草)」内にあるCooking Studio「おいしいのつくりかた」で、大人の食育イベント「SANRIKUワカメで美味しいとキレイをつくる」が行われた。
 このイベントは、フィッシャーマンズ・リーグの活動のひとつである、食育プロジェクトの第1弾として企画された。食育プロジェクトでは、三陸の伝統的な食文化や魚食・水産業の栄養に関する情報、おいしい食べ方などの価値を伝えることを目的にしている。その第1弾として「三陸ワカメ」が食材に選ばれた。
 参加したのは男性3名、女性23名の計26名。主催者であるフィッシャーマンズ・リーグからの告知でイベントを知った人や、日頃からCooking Studio「おいしいのつくりかた」で学ぶ生徒が多かったが、中には「SANRIKUフィッシャーマンズ・フェス」に偶然足を運び、急きょ参加を決めた人もいた。

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美容をテーマにした食育イベントだけあって、参加者は圧倒的に女性が多かった

 冒頭、フィッシャーマンズ・リーグで食育リーダーを務める平塚隆一郎さんから挨拶が行われた。
 「フィッシャーマンズ・リーグは東北の漁業・水産加工のリーダーが集まり、地域を超えて連携しているチームです。三陸ブランドの素晴らしさを国内外に発信しながら、世界に誇れるブランドを生み出せるよう頑張っています。今回は食育プロジェクトの第1弾として、三陸ワカメを取り上げました。参加者の皆さんには、三陸ワカメのおいしい食べ方や栄養面に関する知識を、楽しく学んで頂ければと思います」

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食育リーダーとして挨拶を行う平塚さん

 続いて、ワカメリーダーの赤間俊介さんから、三陸ワカメに関する知識がクイズ形式で紹介された。
 例えば、三陸ワカメがおいしい3つの理由は何か。答えは、三陸沿岸では①水温が安定して低く、②リアス式海岸の地形により森から豊富なミネラルが流れ込み、③親潮と黒潮が交わるため新鮮な海流が保たれる、というものだった。
 他にも、バイヤーを対象にしたブランド水産品の調査で三陸ワカメが4位にランクインしていることや、岩手県と宮城県だけで日本全体の7割の収穫量を上げていること、三陸特有の地形を生かしてそれぞれの生産者が特色のあるワカメを作っていることなどが伝えられた。参加者は初めて知る三陸ワカメの知識に触れ、驚きや感嘆の声を上げていた。
 一方で、三陸ワカメが抱える課題も紹介された。ワカメの消費量は圧倒的に東北が多く(1位は岩手県で年間の世帯消費量は2kg以上。ちなみに東京都は25位で1008g)、生産地に近い場所で多く消費されている。実際、赤間さんがワカメを毎日食べているかを尋ねたところ、手を挙げた参加者はごくわずかだった。
 東北以外の地域の人たちにも、もっとたくさんワカメを食べてもらうには、多彩な食べ方を知ってもらう必要があると、赤間さんは説明。東北ではワカメをしゃぶしゃぶにして食べる事例を紹介しながら、ワカメを葉・茎・メカブの3つの部位に分けて、それぞれどのような食べ方ができるかを教えてくれた。

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赤間さんは宮城県の松島湾で海藻類の養殖と加工に従事していて、ワカメに関する深い知識を持っている

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三陸ワカメの知識はスライドで伝えられた

 続いて、三陸ワカメの素晴らしさを実感してもらおうと、ワカメの食べ比べが行われた。
 用意されたワカメは4種類。三陸ワカメに加え、国内の他地域や外国産のワカメがテーブルに並んだ。参加者たちはお湯で戻した4種類のワカメを、八方だしとポン酢で試食。「食感」「味」「香り」「見た目」の4項目で比較した。中でも「食感」には大きな違いがあったようで、参加者からは「地域によって歯ごたえが全然違う」という声が多く聞かれた。

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4種類のワカメを食べ比べる参加者

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ワカメリーダーの赤間さんは各テーブルを回りながら、天然ワカメと塩蔵ワカメの違いなど、
参加者からの質問に答えていた

 食べ比べが終了すると、Cooking Studio「おいしいのつくりかた」の講師から、ワカメがもたらす健康と美容への効果についてレクチャーが行われた。

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レクチャーは栄養士の資格も持つ講師から行われた

 ワカメはカロリーが少ない割に、豊富な栄養が詰まった食材だという。代表的な栄養素としては、腸の働きを活発にする食物繊維、骨を丈夫にするカルシウム、高血圧を予防するカリウムがあり、健康に役立つ成分が多く含まれている。また、ワカメ100gあたり138kcalとカロリーが少ないことに加え、カリウムがむくみを予防し、ヨウ素が髪や皮膚を健康にし、食物繊維が整腸作用を促すなど、美容にも効果抜群とのこと。参加者の大半を占める女性たちは、講師の話に熱心に聞き入っていた。

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ワカメには健康と美容に役立つ成分が豊富に詰まっている

 また、ワカメの効果的な食べ方についてもレクチャーが行われた。ワカメはお酢と一緒に食べるとやわらかくなった食物繊維が吸収されやすくなり、油と一緒に食べるとヨウ素の吸収率もよくなるという。加えて、ワカメには体を冷やす作用もあるので、体が温まっているときに食べるのが適切とのことだった。
 そしてレクチャーが終了すると、いよいよ料理教室の時間になった。
 4つのテーブルに分かれた参加者たちは、講師のアドバイスを受けながら、三陸ワカメを使った「中華風サラダ」「ナムル」「たまごスープ」の3品目の料理に取り掛かった。

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料理教室で作られた、(左から)「中華風サラダ」「ナムル」「たまごスープ」の3品

 ワカメを水で洗ってから一口大に切ったり、ニンジンを千切りにしたり、ごま油と混ぜ合わせたり。料理をしているうちに、各テーブルの参加者の会話も自然と盛り上がり、クッキングスタジオの講師やワカメリーダーの赤間さんに多くの質問が寄せられた。

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ワカメは一口大に切ったあと、他の野菜や調味料と混ぜ合わせていく

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講師の熱心な指導を受けながら参加者は料理を続けた

 すべての工程を終え、盛り付けされた3品目の料理がテーブルに並ぶと、参加者から「見るからにおいしそう!」との声が上がった。実際に味見してみると、ごま油やポン酢など調味料の味と、ワカメ本来のおいしさや歯ごたえが見事に調和していた。

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料理をしているうちに参加者の親睦も深まっていった

 「ワカメをメインにこれだけの料理を作ったのは初めて」
 「国産の天然ワカメがこんなにおいしいとは知らなかった」
 「ワカメにも多彩な料理方法の可能性があると感じた」
 試食を終えた参加者からは、今まで知らなかったワカメの魅力を称賛する声が数多く聞かれた。

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試食の際には参加者の顔にも笑顔の花が咲いていた

 この日のイベントに、10ヵ月のお子さんを連れて参加した女性は、韓国で出産後にワカメを食べることを引用しながら、「ワカメをたくさん食べて、カルシウムを蓄えて、母乳もたくさん出したいですね」と話してくれた。
 また、試食の際にはキリングループが、よく冷えた「キリン一番搾り」を提供。「ワカメの風味とごま油の香りが冷えたビールによく合う」と参加者たちにも好評だった。
 料理教室の終了後、東北出身で現在は東京在住だという、男女2人の参加者に話を聞いてみた。
 「参加したきっかけは、ワカメを主食材にした料理教室が珍しかったからです。東北生まれですが、内陸で育ちましたので、海産物は市場に出たものを購入して食べるのが当たり前でした。今回のように、生産者の方と直接お話をしながら、新鮮なワカメを食べる機会もありませんでした」
 そして三陸ワカメの味や自分たちで作った料理にも満足しているようだった。
 「ワカメの食べ比べをしてみて、食感や味などの違いをはっきりと感じました。同じワカメでもこれほど違うのかと驚いたほどです。健康と美容に効果が大きいことも目からウロコでした。料理教室で作った3品の料理は、どれも手軽に作れて、しかもおいしい。この食育イベントを通じて、ワカメに対する見方が大きく変わりましたね」
 こうした参加者の反応は、まさにフィッシャーマンズ・リーグの目指すところなのかもしれない。ワカメリーダーの赤間さんは、食育イベントを行う意義を、次のように表現してくれた。
 「三陸ワカメの健康・美容効果やおいしい食べ方など、生産者にとっては当たり前のことでも、知らない人はたくさんいます。そうした魅力を、どうやって各家庭の食卓にまで届けるか。その入口のひとつが、今回のような食育イベントなのです。どれだけ味に自信があっても、食べてもらえなければ意味がないですから」

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食育イベントの意義について話す赤間さん

 そして三陸ワカメが支持されることで、他の海産物にも好影響を与え、地域全体に活気をもたらすという。
 「三陸にはフィッシャーマンズ・リーグがブランド化を進めているワカメや牡蠣だけでなく、ウニをはじめアワビやアカモクなど、素晴らしい海産物が豊富にあります。ワカメや牡蠣のブランド化が成功すれば、三陸にもさらに多くの人が訪れ、他の海産物も注目されることでしょう。だからこそ、今回の食育イベントのように消費者と接することができる活動を、地道に続けていくことが大切なのです」
 フィッシャーマンズ・リーグでは今後、若者や子どもなど、将来の需要が見込まれる世代にも、食育イベントを通じて積極的に働きかけていく予定だという。東北の水産業のリーダーたちが展開する地道な活動が、東北以外の人々の心もつかみ、地元をさらに盛り上げる起爆剤になることを期待したい。

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食育イベントの開催中も、「SANRIKUフィッシャーマンズ・フェス」の商品売り場では、
多くの人がフィッシャーマンズ・リーグの商品を買い求めていた

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商品売り場の入口には、岩手県洋野(ひろの)町からウニ漁師も駆けつけた。
ウェットスーツに身を包み、ウニを獲る際に使う「2本カギ」や「タモ(網)」を持った姿は注目を集め、
売り場へお客さんを導くのに効果絶大だった

取材協力/有限会社パワーボール、写真撮影/和田剛

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