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地元食材と伝統料理で地域に誇りを取り戻す

いわき市 水産業ブランド化推進4団体 贈呈式レポート (2/3)

同じ思いを持つ仲間たちが立ち上げたプロジェクト

 贈呈式ではまず、いわき市の清水敏男・市長から来賓挨拶が行われた。
 「震災から5年8ヵ月が経ちましたが、原発事故による風評被害は、今もあらゆる産業に暗い影を落としています。特に第1次産業は、甚大な影響を受けています。そうした中、『キリン絆プロジェクト』による水産業支援を頂けることに、心より感謝を申し上げます。いわき市の水揚量は震災前には遠く及ばず、依然として試験操業を余儀なくされている状況です。風評被害により消費者がいわき市の水産物を敬遠するという事例も、いまだに耳にします。今回4団体が取り組む水産物のブランド化や6次産業化は、消費者が買いやすい商品づくりにつながるものであり、大変素晴らしい取り組みだと思います。頂戴したご支援に報いるためにも、4団体にはぜひ成功してほしいです。いわき市としても、できる限りの協力をさせて頂きます」

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4団体によるプロジェクトの成功を願う清水・市長

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贈呈式には福島放送、福島テレビ、福島民報社、いわき民報など、メディア各社も取材に訪れた

 来賓挨拶が終了すると、4団体による事業方針の発表が行われた。
 最初に登場したのは、「いわき社中」の石井英樹・代表。この団体では、水産加工業者・料理店・干物店などが協力し、いわき市に古くから根付く干物文化を継承させるために、鍋料理に入れる干物商品の開発を進めている。
 自身で干物店を営む石井・代表によれば、鍋料理に入れるタラなどの白身魚が、煮込むと身くずれしてしまうことに、以前から疑問を感じていたという。そこでいわき市で水揚げされる魚を干物にして、鍋料理に入れることを思いつく。地元の料理人の監修を受けて、濃い目の味付けで旨味を凝縮した干物は、お湯に入れ熱するだけでダシ汁がしっかりと出て、何の味付けもせずに美味しい鍋が出来上がる。また、干物商品は冬の季節は売れにくい傾向があるため、鍋物用の干物で閑散期を埋める商品にしたいと考えている。

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鍋物用の干物を開発した経緯について話す石井・代表

 いわき市の小名浜港で水揚げされるサンマを使い、郷土料理を復活させようとしているのは「いわきサンマリーナ研究所」。会長の上野臺優(うえのだい・ゆたか)さんは、小名浜港のある漁師町で生まれ育った。いわき市では秋になると、当たり前のように食卓にサンマが並んでいたという。しかし震災と原発事故により、水揚げ量も流通量も激減。その結果、日常の風景は一変してしまった。
 そこで「いわきサンマリーナ研究所」では、漁獲から加工、販売まで、サンマに関わる地元の企業・団体が連携。伝統料理の「すり身焼き」や「みりん干し」を、水揚げ後24時間以内の鮮度の高いサンマを使って商品化しようとしている。

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サンマを使った郷土料理の復活に対する、熱い思いを吐露する上野臺・会長

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事業方針発表はスライドを使って行われた

 また、「いわき市水産物6次化推進協議会」では、いわき市の魚であるメヒカリを原料に商品を開発することで、市の魚のシンボルとしての認知度を高めるとともに、新たな定番商品になることを目指している。
 プロジェクト推進リーダーを務める吉田和則さんによれば、骨があり調理に時間がかかるメヒカリを、三枚開き・骨抜き・味付けなどをして冷凍保存。加熱すれば手軽にフリットとして食べられるよう、商品化を進めている。試食を兼ねたアンケート調査では、すでに「魚嫌いの子どもがおいしく食べてくれた」「大人が食べてもおいしい」など好評を得ているという。

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吉田・プロジェクト推進リーダーは、良好なアンケート調査の結果を報告してくれた

 最後に登場した「いわき水産商品開発協議会」の鈴木健寿(すずき・けんじ)会長は、いわき市の郷土料理であるアンコウ鍋「どぶ汁」を復活させるために、全力を傾けていると語ってくれた。
 いわき市では古くから冬になると、料亭や旅館などの看板メニューにのぼるだけでなく、仲間内の宴会や家庭の食卓でも食べられてきた「どぶ汁」。しかし、震災によりアンコウの水揚げ量が減った結果、食べる機会も少なくなってしまったという。
 「どぶ汁」の味の素晴らしさに惚れ込んだ鈴木・会長は、家庭でも手軽に味わえる「どぶ汁」商品を開発することを発案。地元の水産加工業者や料理人、漁協、そして農業生産者にも協力してもらい、アンコウの切り身にいわき市産のネギとダイコンを加えた、具材入りの鍋つゆ商品を開発した。発売は来年春を予定。この商品をいわき市の人々が食べることで、もう一度、地元に誇りを取り戻してほしいと鈴木・会長は考えている。

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地域の誇りをもう一度取り戻すため、郷土料理の復活に全力を尽くしていると話す鈴木・会長

 それぞれの団体が地域に対する誇りを胸に、同じ思いを持つ仲間たちと手を取り合い、立ち上げたプロジェクト。事業方針の発表では、地域復興にまい進する彼らの熱い思いが存分に伝わってきた。

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