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郷土料理の商品化で食文化をつなぎ地元に誇りを取り戻す

「小名浜さんま郷土料理再生プロジェクト」事業報告会・新商品発表会レポート (1/3)

日本のさんまをめぐる厳しい環境

 2017年9月27日、福島県いわき市にある「小名浜魚市場」の会議室で、「小名浜さんま郷土料理再生プロジェクト」の事業報告会・新商品発表会が行われた。

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事業報告会・新商品発表会の会場となった「小名浜魚市場」

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目の前には小名浜の海が広がる

 プロジェクトを推進しているのは「いわきサンマリーナ研究所」。約1年前の2016年11月11日、いわき市水産物のブランド化に取り組む4団体のひとつとして、「復興応援 キリン絆プロジェクト」から助成を受けた。「いわきサンマリーナ研究所」には水産物の生産、加工、販売に加え、デザインや情報発信など、いわき市を拠点に活動する11の事業者が参画し、商品開発に磨きをかけてきた。そしてこのたび、さんまを使った2商品(「さんまポーポー焼き」「さんまふわっとみりん干し」)が正式にリリースされることとなり、事業報告会・新商品発表会が開催された(「いわきサンマリーナ研究所」を含む4団体への支援に関する記事はこちら:http://kizuna-nipponfoundation.info/2016/11/4.html)。

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会場に展示された「さんまポーポー焼き」(左・中)と「さんまふわっとみりん干し」

 商品開発への取り組みが正式リリースという成果に結び付いたのは、「いわきサンマリーナ研究所」のメンバーをはじめとする関係者の努力の賜物であり、地域の復興を感じさせてくれる嬉しいニュースでもある。しかし実際には、いわき市ならびに福島県の水産物を取り巻く環境は依然として厳しい。
 震災以後、福島県の水産物は原発事故の風評被害により販売は激減。水揚げしても放射線のモニタリング調査を強いられるなど、出荷そのものが難しい状況が続いた。その後、試験操業(注)という形で出荷が可能となる魚種も出てきたが、市場にはすでに安価な輸入品が出回っており、震災前のような販売量を確保するのは困難を極めた。
 加えて、さんまは気候変動による深刻な影響も受けている。東北の水産業者は夏から秋にかけ、産卵のために黒潮の温かい海水を求めて北から南下してくるさんまを水揚げしていた。しかし近年は、海水温の上昇により温かい海水の範囲が北海道付近まで拡大。その結果、さんまは東北沿岸に近づかず、東へと離れ、日本の排他的経済水域の外側にある公海を移動するようになった。公海では韓国や台湾など、海外の大型漁船も数多く操業しており、水揚げ競争は一層激しくなる。その上、東北沿岸から公海まで船を出したとしても、燃料代や人件費がかさんで採算が取れない場合も多い。
 いわき市のさんま水揚げ場として有名な小名浜漁港では、震災以後半分近くに減った水揚げ量が、2015年からさらに減少。3分の1から5分の1にまで落ち込んでいる。また、水揚げ量の確保が困難という理由で気仙沼のさんま祭りが今年は中止になるなど、海水温の上昇による影響は東北各地に及んでいる。
 こうした厳しい状況の中、「いわきさんまリーナ研究所」ではメンバーの努力で原材料となるさんまを何とか確保し、商品開発に磨きをかけることで正式リリースへと結び付けた。

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