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郷土料理の商品化で食文化をつなぎ地元に誇りを取り戻す

「小名浜さんま郷土料理再生プロジェクト」事業報告会・新商品発表会レポート (2/3)

加工商品を作ることは海洋資源の保護につながる

 事業報告会ではまず、「小名浜さんま郷土料理再生プロジェクト」のリーダーである上野臺優(うえのだい・ゆたか)さんから主催者挨拶が行われた。
 「さんまを使った郷土料理をいわき市のソウルフードにしようと、昨年9月に私たちのプロジェクトは立ち上がりました。地元の食材を使ったソウルフードを開発することで、いわき市民に誇りを取り戻してもらうと同時に、郷土料理という食文化を次世代につないでいきたかったからです。私たちはこの1年間、『キリン絆プロジェクト』のご支援も受けながら、さんまを使った商品の開発とブランディングに取り組んできました。そして晴れて、2つの商品が正式リリースされることになりました。プロジェクトに参画する11の事業者の、知恵と想いがつまった商品です。後ほど試食もできますので、ぜひ味わって頂き、感想を聞かせてほしいと思います」

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プロジェクト設立の背景や商品開発の経緯を紹介する上野臺さん

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会場にはNHK、読売新聞、福島テレビ、福島放送、いわき民報などメディア各社も取材に訪れた

 続いて、来賓を代表していわき市の鈴木典弘・副市長から挨拶が行われた。
 「被災したいわき市の農林水産業に対する、キリングループならびに日本財団のご支援に心より感謝申し上げます。震災から6年半が経ちましたが、原発事故の影響を受けた市の水産業では今も操業自粛が続き、いまだに本格的な回復のめどは立っていません。加工や流通などの関連産業を含め、困難に直面しているのが現状です。そうした中、さんまをベースに新たな商品づくりに挑む『いわきサンマリーナ研究所』の取り組みを、とても心強く感じています。メンバーの皆さんの努力が実り、開発商品が郷土料理として定着することを期待しています。いわき市としても、地元商品の販売拡大やブランド化に全力で取り組んでいく所存です」

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いわき市としても地元商品の販売拡大やブランド化に取り組むと語る鈴木・副市長

 また、いわき市中央卸売市場で卸売業を営む、いわき魚類株式会社の筥崎裕光・合物課長からも来賓挨拶が行われた。
 「中間流通業者から見ると、『いわきサンマリーナ研究所』が開発された2品は簡単に料理ができる簡便商品です。震災当時は余震が続き火を使うのが怖かったので、支援物資として送られる簡便商品は重宝しました。その一方で、簡便商品の味つけが地元の人たちに合わないこともありました。開発された2品を試食しましたが、どの家庭にも受け入れられる味に仕上がっていると思います。並々ならぬ努力があってこそ辿り着いた味なのでしょう。弊社では『いわきサンマリーナ研究所』に流通業者さんを紹介し、すでに市内のスーパーなどでテスト販売も行っています。食べやすさから魚嫌いの子どもたちも好きになり、親が購入してくれるという戦略ですが、今のところ順調に進んでいます。これも『キリン絆プロジェクト』の強力なバックアップと『いわきサンマリーナ研究所』のメンバーたちの努力があったからです。いわき市には市の魚であるメヒカリをはじめ、さんま以外にも魚種が豊富ですので、これからも多彩な商品の開発に挑戦してほしいと思います」

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筥崎・合物課長は「いわきサンマリーナ研究所」が開発した2商品に手ごたえを感じている

 来賓挨拶が終わると、プロジェクトリーダーの上野臺さんから事業の取り組み報告が行われた。
 今回のプロジェクトは郷土料理を再生し、未来に伝えていくのが目的だ。いわき市や小名浜といった地元の「当たり前」に目を向け、その価値を問い直し、再構築していく。展望としては開発商品が小名浜の郷土料理から福島を代表する郷土食になることを目標とし、最終的にはプロジェクトそのものが日本の魚食普及をけん引することを目指している。

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事業の取り組み報告はスライドを使って行われた

 今回、正式リリースされたのは「さんまポーポー焼き」と「さんまふわっとみりん干し」の2品だ。
 さんまのすり身に味噌、ネギ、ショウガなどを混ぜ、ハンバーグのように丸めて焼いた「さんまポーポー焼き」は、いわき市を代表する郷土料理のひとつ。漁師が船上で調理するときに、さんまの脂が炭に落ちて「ポーポー」と炎が上がったことに由来する漁師料理でもある。水揚げ後24時間以内に下処理された新鮮なさんまをすり身にし、野菜もいわき市産の有機ネギを使用するなど、地元食材を活用することにこだわった。
 「さんまふわっとみりん干し」は、小名浜発祥の加工品。乾燥時間を可能な限り短くすることで、さんま本来のふわっとした食感を実現した。さんまも加工用ではなく生鮮生食用を使用することで、魚本来の旨味を感じられるように仕上がっている。
 2つの商品は市内のスーパーや小売店ですでに販売が始まっている。加えて、業務用のさんまのすり身も商品化。市内の20を超える飲食店と連携し、店舗ごとに和・洋・中といったオリジナルの味付けで、すり身を使った料理を開発してもらっている。
 他にも、「さんまポーポー焼き」をベースにアレンジした「さんまポーポーぎょうざ」「さんまポーポー純つみれ」「さんまポーポーそぼろ」など、新商品の開発も着々と進んでいる。

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会場には開発中の商品も一緒に展示されていた

 また、小名浜のさんまの魅力を伝えるパンフレットや写真集も制作するなど、SNSの活用を含め、情報発信にも余念がないようだ。

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小名浜のさんまの魅力を伝えるパンフレット(左)と写真集

 そして生鮮生食用だけでなく、小型のさんまも無駄なく加工することで、さんまという「海洋資源」を保護するための啓発にもつなげたいと考えているという。
 事業の取り組み報告が終了すると、キリン株式会社CSV推進部絆づくり推進室の野田哲也・地域創生担当部長から激励の言葉が贈られた。
 「キリングループでは2011年7月から、3年間で60億円という規模で被災地の復興を応援する活動を始めました。東北3県の中でも福島県は特殊な事情を抱えていたため、3年が経過した時点で他の2県とは復興度合いに違いが出ていると感じました。中でも水産業は厳しい状況に置かれているようでした。そこで福島県で支援できる事業・団体がないか探していたところ、郡山市の鯉の養殖を支援することになったのです。その後、追加で支援の公募を行ったのですが、真っ先に手を上げたくれたのが上野臺さんでした。その折に提出された、理路整然としながらも熱意にあふれた事業計画には感銘を受けたものです。『キリン絆プロジェクト』が助成を行ったのは昨年11月ですが、わずか1年弱でこれほど魅力的な商品群を開発されたことに敬意を表します。メンバーの皆さんにも感謝申し上げます。キリングループとしても、今後も福島県ならびに東北の支援を続けて行きたいと考えています」

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「キリン絆プロジェクト」が支援をするに至った経緯について語る野田・地域創生担当部長

 また、公益財団法人日本財団で海洋事業部海洋チームに所属する榎村麻子からも激励の挨拶が行われた。
 「日本財団では今年の春から夏にかけ、15歳から60歳までの1万人を対象に、海に関する意識調査を行いました。調査結果の中で印象的だったのが、10代から20代の約40%が『海に親しみを感じない』と答えたことです。さらに、彼らの中で小学6年生まで海に行ったことがない人に絞ると、乱獲や地球環境の変化により『魚が食べられなくなる』可能性があることを知らない割合も40%にのぼりました。日本の海を取り巻く環境が厳しさを増し、人々の海や魚への関心が薄れて行く中、加工品に特化することで海洋資源を守ろうという今回のプロジェクトは、地域の復興のみならず今後の日本にとっても必要な事業だと思います。ぜひ皆さんの力で、いわき市だけでなく全国の子どもたちが、日本の海や魚について考えるきっかけとなるような、プロジェクトにして頂きたいと思います」

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いわき市だけでなく日本全体のためのプロジェクトにしてほしいとエールを送る榎村・海洋チーム職員

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事業報告会の最後には関係者による記念撮影も行われた

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