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「いわきの農業・水産業4 団体」事業成果報告会・新商品発表会レポート (3/3)

食べた人が笑顔になる商品を届けたい

 事業成果報告会が終わると、新商品の発表を兼ねた試食会が開催された。試食会では4団体の開発した新商品が、フレンチのコース料理のように一品ずつ丁寧に提供された。

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一品ずつ丁寧に料理を並べる4団体のメンバー

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メニューの書かれたランチョンマット

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試食会場にはプロジェクト関係者、一般消費者、メディアなど多くの参加者でにぎわった

 試食会には20名の一般消費者が招待されていたこともあり、4団体は料理を提供しながら各商品についての説明も行った。

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商品説明を行う4団体のメンバー

 「F'sキッチン」はフォアグラの上にリンゴのコンポートを盛り付けるなど、前菜からフランス料理のような凝った料理が登場したが、中でも注目を集めたのが「さんまポーポー焼き」を使ったピザだ。「さんまポーポー焼き」はいわき市で同じく「キリン絆プロジェクト」からの支援を受けている、「いわきサンマリーナ研究所」が開発した商品。24時間以内に水揚げされた新鮮なさんまをすり身にし、味噌、ネギ、ショウガなどを混ぜてハンバーグのように焼き上げる。この味に感動したイタリア料理のシェフから、ぜひピザに使いたいと申し出があり実現した。漁業と農業が協働することで生まれたまったく新しいコラボ商品だ。

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お皿の手前にあるのが「さんまポーポー焼き」を使ったピザ

 「いわき社中グループ」は、真鱈、秋鮭、赤魚の3種類の「鍋干物」を用意。身崩れを防いで魚が主役になる鍋物を作りたいと、20年前から構想していた商品が、「キリン絆プロジェクト」の支援を受けてようやく実現したいきさつなどを説明した。干物に味のしみ込んだ「鍋干物」を鍋に入れ、水と野菜を加えて加熱すれば、500円という低価格で鍋が楽しめることも魅力だという。

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低価格で本格的な鍋を楽しめる「鍋干物」

 「いわき市水産物6次化推進協議会」はメヒカリのフリットを、「トマトのサルサソース」「ねぎくるみ味噌」「にんじんのマリネ」という3種類のアレンジで提供した。どれも今までにはない斬新かつ新鮮な食べ方だ。平成32年にいわき市の小名浜港に加工場が完成すれば、メヒカリ商品を一気に大量製造することが可能になるという。

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試食会では3種類の味が楽しめた「セレブなメヒカリ」

 アンコウの「どぶ汁」をテーブルに並べた「いわき水産商品開発協議会」の鈴木さんは、「今の時期にアンコウをたくさん食べてほしい」と呼びかけた。鈴木さんによれば、冬のアンコウは食べると3年は風邪を引かないと言われているそうだ。「どぶ汁」の滋味深い味わいは、参加者の体を芯から温めてくれたに違いない。

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色合いも味わいも独特な「どぶ汁」

 4団体の料理提供が終わると、デザートとしてジャージー牛乳のミルクプリンも登場した。ジャージー牛乳はいわき市内で酪農を営む夫婦が用意したもの。「F'sキッチン」と協働することで実現した商品だ。他にも、イチゴやカボチャのミルクジャムなどを一緒に開発している。濃厚なミルクプリンは口の中にとどまらず、口全体がとろけるような味わいで、参加者の中でも特に女性から多くの支持を集めていた。

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女性の人気が高かったジャージー牛乳のミルクプリン

 一般消費者として試食会に参加した人たちに話を聞いてみると、
 「地元の食材をオシャレな料理に仕上げてくれて嬉しい」
 「同じいわき市民として誇らしく思う」
 「震災から今まで長期間に渡って本当によく頑張ってくれている」
 というように、4団体の取り組みを称賛する声が相次いだ。

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料理の味についても「おいしい!」と評価する声が各席から聞こえていた

 試食会の途中、「いわき市水産物6次化推進協議会」の新谷さんに話を聞いた。新谷さんはいわき市漁業協同組合の職員でもあり、市の漁業の動向には常に目を配っている。
 「今回のプロジェクトでは、生産者、加工業者、流通業者、料理人など、業種の垣根を超えて様々な人たちが協働しています。漁業と農業の連携も生まれました。震災前であれば、それぞれが得意とする専門分野に特化していれば良かったのでしょうが、試験操業や風評被害などの逆風を乗り越えるためには、協働の取り組みは欠かせません。また、各団体が取り扱う食材が異なることは、互いに切磋琢磨して競争するための原動力にもなると思います。私たちの取り組みは予想を超える広がりを見せていて、今日のイベントのように、たくさんの絆やつながりが生まれています。これも『キリン絆プロジェクト』による強力なサポートがあったからに他なりません。本当に感謝しています。これからも努力を怠ることなく改良を重ねながら、安全安心でおいしく、食べた人が笑顔になる商品を全国に届けていきたいと思います」

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震災が起きたことで協働の取り組みは不可欠になったと話す新谷さん

 「キリン絆プロジェクト」の支援を受けて、4団体は見事に商品開発に成功したが、本格的な販売はこれからであり、スタートラインに立ったばかりだとも言える。いわき市や福島県という地元を飛び出し、全国展開を目指すことになれば、厳しい消費者の目にさらされることにもなるだろう。
 それでも各団体のメンバーたちの漁業を、農業を、そして地元を愛する心は、商品を通じて消費者の胸にきっと届くに違いない。そんな日が一日でも早く訪れることを期待しながら、これからも4団体の活動を見守りたい。

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新商品発表会の最後は4団体のメンバーが商品やプロジェクトへの熱い思いを語って締めくくられた

(注1)第1次産業である農林水産業が、農林水産物の生産だけにとどまらず、それを原材料とした加工食品の製造・販売や観光農園のような地域資源を生かしたサービスなど、第2次産業や第3次産業にまで踏み込むこと。
(注2)モニタリング検査結果から安全が確認されている魚種に限定し、小規模な操業と販売を試験的に行い、出荷先での評価を調査して、漁業再開に向けた基礎情報を得ること。

撮影/和田剛、取材協力/有限会社パワーボール

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