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南三陸ブランド確立プロジェクト

南三陸ブランド確立プロジェクト

三つの地区が手を取り合い、全国に通じる"南三陸ブランド"を創る

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宮城県南三陸町にある戸倉・志津川・歌津の3地区の水産業者が力を合わせ、一つの傘の下、南三陸ブランドを創り上げようと発足した「南三陸ブランド戦略事務局」。地域産品のブランド強化と6次産業化*を目指し、2015年7月から各地区でプロジェクトがスタート。プロジェクトを担うのは、戸倉地区の漁業者たちで構成される「戸倉漁師の会」、志津川地区の漁業者や農業者の女性たちが集まった「南三陸おふくろの味研究会」、歌津地区の水産加工会社と漁業者が手を組む「歌津うんめぇもの研究会」の3団体。さらに各団体をまとめる事務局には、6次産業化プランナーやアドバイザーなどの専門知識を持った外部有識者も参加し、ブランド育成を図っている。南三陸町の新たな名物を目指したユニークな商品開発への挑戦が始まった。

*6次産業化とは1次産業である生産業が生産だけにとどまらず、2次産業の加工、3次産業の小売り、サービスなどまでに踏み込むことを指します。
南三陸の"いいもの"をきっかけに、地域を盛り上げる
地区も業種も異なる人々が一丸となる"チーム南三陸"

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 2005年に志津川町と歌津町が合併して生まれた南三陸町。親潮と黒潮が合流する浜は世界三大漁場の一つといわれるほど豊かな漁場で、ウニ、ホヤ、ワカメの養殖や、多種多様な魚が年間を通して水揚げされる。この地域が誇る海の幸を復興の足掛かりにしようと、2015年1月に発足したのが「南三陸ブランド戦略事務局」。南三陸町の各地区で獲れる水産物と作り手の個性を活かした水産加工品を、「いいもの南三陸」ブランドとして全国へ発信していく。発起人であり事務局長の小野寺文夫さんは、戸倉・志津川・歌津という3地区が団結することがこの計画の肝だと話す。「もともと別の町だったこともあり、みんなが一緒に何かするということは今まであまりなかった。各地区のプロジェクトが"南三陸町"として団結すれば、より強いブランドを創ることができる」。

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 ブランドづくりには外部のパワーも加わる。事務局を担う、食プランナーの早坂久美さんもその一人である。「各団体に一人ずつ外部アドバイザーがつき、メンバーと一緒に奮闘しています。月に1度の定例会議ではプロジェクトの進捗報告や情報共有を行い、"南三陸"の価値向上に向け活動しています」。3本の線に、リアス式海岸の形をデザインしたシンプルなブランドロゴを作成。3地区で一丸となる"チーム南三陸"を表現している。小野寺さんは「現在、各プロジェクトが商品開発に取り組んでいますが、早く全国の皆さんに南三陸町の美味しいものをお届けしたいです。ゆくゆくは、実際に南三陸町にも足を運んでもらえたらうれしい」と今後の展開に胸をふくらませる。

戸倉漁師の会

「南三陸漁師のごはん」プロジェクト

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 震災で漁船や水産関連施設の約90%を失ってしまった戸倉地区では、海の男たちが立ち上がった。震災後、まず取り組んだのがカキ、ホヤ、ワカメ、ホタテといった養殖業の共同運営。20代から70代まで100人の漁業者が手を取り合い、震災後すぐにホヤの養殖から事業を再開。道具や施設、収入を分け合いながら一歩ずつ復興を進めてきた。こうした共同運営を、2012年から2015年1月まで約3年間続けた。「ホヤやカキは保健所に認可された加工場がないと出荷できないので、特に個人の力では復旧が難しかった。この取り組みを通して、震災前はなかった人々のつながりや絆ができたことが一番の財産となりました」と話すのは、会長の松岡孝一さん。港に建てられた共同のカキ加工場では、複数の漁業者が朝からカキの殻むき作業を行っている。戸倉地区では、戦後すぐに始まったカキなどのこうした養殖漁業をはじめ、カレイやアイナメ、夏はアナゴなどの魚が豊富に水揚げされる。最近ではまち興しの一環として、現地を訪れた観光客への漁業体験や水産物のバーベキューといったおもてなしにも力を入れている。

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 彼らが次なるステップとして着手したのが「いいもの南三陸」ブランドの商品開発。自らも漁業者である松岡さんを 中心に、地域の幸を使って漁業者自身が作る"漁師めし"を商品化する計画である。中でも一押しなのが、ミネラルたっぷりのカキを酒粕漬けにした「ほろ酔カキ」。生きたままのカキに酒粕入りの海水を吸い込ませ、それを殻ごと蒸して食べるというもので、酒粕の芳醇な香りがカキの旨味を引き立たせる逸品である。また、6〜12月頃に獲れる志津川湾のアナゴも外せない。重さが1.5kgはあろうかという特大サイズの身を丁寧に捌き、天日塩で軽く塩漬けにした「アナゴの塩引き」は白焼きにすると格別美味。塩漬けにすることで保存も効き、旬の時期以外にも肉厚の身を楽しめる、とっておきの品。どちらも戸倉地区の漁業者が手づくりした"漁師めし"で、ほかでは味わえないものである。

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 すでに仙台市の飲食店などへの売り込みも開始しており、アドバイザーを務める厨勝義さんは「評判はとてもいいです。これまでにない食べ方なので、皆さん驚かれますね。あとは細かい製法の調整や、梱包、運送方法といった部分をブラッシュアップしていきます。将来的には、小売りも検討していきたいです」と話す。松岡さんもその出来に胸を張る。「身がぎっちり入った時期のカキで仕込み、冷凍保存しておけるので1年中食べられます。ほかにも、アナゴの塩引きやマンボウ、タコの頭などの素材を活かした"漁師めし"はまだまだあります。何年かかるかわからないけれど、戸倉の漁師の味を多くの人に届けたいです」。海の男たち自慢の"漁師めし"が南三陸町の名物となるのが楽しみである。

お問合せ
戸倉漁師の会
所在地:宮城県本吉郡南三陸町戸倉字西入31-1
TEL:090-8259-0982

南三陸おふくろの味研究会

「食を通して幸せを届ける」プロジェクト

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 宮城県漁協志津川支所の女性部が中心となり結成された「南三陸おふくろの味研究会」は、料理上手な地域の"おふくろ"たちが主役のプロジェクトである。メンバーには水産業だけでなく、農業に携わる人も参加している。会長の小山れえ子さんはワカメ漁師の奥さんで、志津川生まれ・志津川育ち。幼い頃から地域の海の幸を食べてきた彼女は本物の美味しさを知っている。「志津川のいいところはやっぱり海。私がこんなに元気なのは、旬の海の幸を誰よりも先に食べられるから。都会の人にも自然が育む本物の味を食べてもらいたい」。

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 こうした想いで彼女たちが商品化に挑んでいるのが、四季折々の食材を使ったおふくろの味をとじ込めた「手づくり缶詰」。被災時に保存食の価値を感じたことから缶詰に着目。旬の水産物と味噌や麹など山の幸を組み合わせた、ほかにはない手づくり缶詰である。「新鮮で質の高い素材を贅沢に使っているので、ほかの缶詰とは全く違います」と話すのは、事務局を務める阿部忠義さん。2015年10月に海沿いに缶詰工場が完成し、現在はタコの醤油麹煮などの試作が着々と進行中。テキパキと働くおふくろたちが集まる作業場は、いつも賑やかな雰囲気。阿部さんは「彼女たちの元気なキャラクターも地域の財産だと思います。商品をつくるだけでなく、このプロジェクトを通して女性のパワーを活かせる場をつくり、それがまちを盛り上げるきっかけになってくれれば」と笑顔で話す。今後は志津川の原料を使った缶詰を全国流通させるだけでなく、現地でおふくろの味を体験できる食堂の運営も構想中。地域の美味と、おふくろたちの温もりを味わう日が待ち遠しい。

お問合せ
南三陸おふくろの味研究会
担当:阿部忠義(事務局)
所在地:宮城県本吉郡南三陸町
志津川字旭ケ浦5番1
TEL:080-6007-2113(事務局・阿部)

歌津うんめぇもの研究会

「南三陸海山(うみやま)の幸」プロジェクト

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 歌津地区は20〜30代の若手漁業者が多く活躍する漁業のまち。地域で水産加工会社を営む会長の千葉孝浩さんを中心に、宮城県漁協歌津支所の青年部などが集まって「歌津うんめぇもの研究会」が結成された。C字型になった歌津半島には、内湾と外洋の性質の異なる二つの海があり、多種多様な水産物が獲れる"ちゃんこ鍋" のような海が自慢。田束山では山菜も採れるなど、山の幸にも恵まれる。現在は定期的に会議を行い「いいもの南三陸」ブランドにふさわしい商品を模索中。アドバイザーである桔梗美紀さんは「ホタテやホヤなど、その時期に一番美味しい鮮魚を詰め合せた『うたつ海の宝箱』や、ホタテやカキの味噌漬けや燻製などを検討中です。やっぱり旬のものを食べるということを大切にしていきたい」と話す。

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 千葉さんは、地域ぐるみで初めて挑む6次産業化事業に意欲を燃やす。「これまで一匹狼で活動してきた漁業者が初めて結束した。漁師はいいものを獲り、加工屋はいいものを作り、流通はそれを市場に発信する。プロジェクトを通して各自が連携することで、漁師と加工会社や、これまで交流のなかった漁業者同士の情報交換もできるようになりました。今後は、地域の農業者など異なるジャンルの生産者とも連携していければと思っています。震災を機に様々な方に応援してもらって実現したプロジェクトなので、先につながるものにしたい。商品を売って終わりではなく、南三陸町はもちろん、歌津のファンを全国に増やすことができたらと思います」。

お問合せ
歌津うんめぇもの研究会
担当:伊藤孝浩(事務局)
所在地:宮城県本吉郡南三陸町
歌津字管の浜57-1
TEL:090-6182-2882(事務局・伊藤)
<URL>utatsu-unmeemono.com

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